昨日の産経新聞1面に、産経新聞・FNN合同世論調査結果として、
「男系男子の皇族を増やすため、戦後に皇籍離脱した旧宮家の復帰を認めてもよいか」との質問に対して「認めてもよい」(42・3%)が「認めない方がよい」(39・6%)を上回ったと書かれていました。
何度でも言いますが、「旧宮家の復帰」は間違いです。
旧宮家の子孫は生粋の一般国民として生まれ、1分1秒も皇族だったことがないのだから、「復帰」はありません。
正しくは「旧宮家系国民男子の皇籍取得」です。
同種の調査は2017年3月から4月に共同通信が行い、「復帰」に賛成が22%、反対が72%と、反対が圧倒。その後は各社世論調査の項目にすら挙げられていなかったので、今回の産経・FNNの調査結果は意外な感じがします。
しかし、こういう結果が出た理由は推測できます。
産経・FNN調査では、「旧宮家復帰」の質問の前に、こういう質問をしているのです。
《古来より続いてきた男系の伝統をやめることになる女系天皇に賛成か》
「古来より続いてきた男系の伝統をやめることになる女系天皇」
…あまりにも露骨な誘導質問です。
「古来より続いてきた男系の伝統」なんてフィクションであり、正確に質問するなら、
「明治時代の男尊女卑の名残である男系の伝統をやめることになる女系天皇に賛成か」
とするべきでしょう。
そして調査は女性宮家創設の是非を問う質問を挟んで、「戦後に皇籍を離れた旧宮家の復帰を認めてもよいと思うか」という質問になっているのです。
まず「男系が古来の伝統だ」という嘘情報を刷り込んでおいて、その後で質問しているわけです。
電話世論調査は以前私も受けたことがありますが、質問するオペレーターはただ機械的に質問項目を読み上げるわけではなく、ある程度回答者と会話しながら質問をしており、回答者が質問の内容をよく把握していない場合は、補足説明もします。
だからこの場合、オペレーターが「古来より続いてきた男系の伝統を守り、男系男子の皇族を増やすため、旧宮家復帰を認めてもいいか」などと誘導質問をしていることは十分考えられます。
無作為抽出方式の世論調査でも、ある程度の操作はできるのです。
それよりもこの調査で注目すべきことは、前述の
《古来より続いてきた男系の伝統をやめることになる女系天皇に賛成か》
という質問に対する結果です。
賛成64.4% 反対21.4% 他14.4%
こんなに露骨な誘導質問をしても、女系天皇に賛成が反対の3倍以上なのです!
たとえ「古来からの伝統」だったとしても、「男系の伝統」は変えてもいいと思っている人の方が圧倒的なのです!
伝統は永久不変ではない。変えてもいい伝統もある。
これがカルトに洗脳されない、健全な庶民感覚であると、この世論調査は語っているのです。